ヨガのOM(お~~~む~~~)って?音の意味・唱え方を解説
Contents:
ベルリンのヨガスタジオでよく唱えている「お~~~~~~~む~~~~~~~」

OMを意味するシンボル
ベルリンでヨガを行ったことがある方は、レッスンの始めや終わりで”Wir singen zusammen om.”(みんなでOMと言いましょう)とインストラクターに言われ、みんなで「お~~~~~~~む~~~~~~~」と唱えたことがあるのではないでしょうか。「あ~~~~~~ん~~~~~~~」と聞こえた方もいらっしゃるかもしれません。
この「お~~~~~~~む~~~~~~~」という呪文のようなもの(以後、OMと記載)、ヨガの世界ではとても重要なものでヨガを勉強したことがある方なら必ず知っているものなのですが、週数回スタジオでヨガをするくらいの方や初心者の方にとっては、周りがいきなり「お~~~~~~~む~~~~~~~」と言い始めて意味がよくわからなかったと思います。
私自身、インストラクターの資格を取るまで日本のヨガスタジオで週1回ペースで5年ほどヨガをやっていましたが、このOMを知りませんでした。
と言うのも日本では「ヨガ=エクササイズ」という位置づけが強くヨガの思想面を強調することがあまりないからです。日本人は特別な信仰を持っていない方が多くそういった”スピリチュアルな要素”に対して関心が高くないからではないかと考えています。
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ヨガは哲学のようなもの
OMについて説明する前に前提条件としてヨガが元来どのようなものであるかについて簡単に説明します。
ヨガの歴史は古く、少なくとも3000年と言われています(諸説あり)。ヨガ発祥の地インドでは、ヨガは昔から人々の生活と強く結びついたものでした。ヨガは思想(哲学)、呼吸法、アーサナ(ポーズ)、瞑想など要素から成り立っており、ヨガの生き方を実践することで死すら恐れない存在になれると言われています。
ヨガを深く学んだ人がスピリチュアルな雰囲気を持っていたりするのではヨガには哲学的な一面があるからで、ヨギー・ヨギーニにベジタリアンが多いのもこの哲学に基づいています。(このあたりはまた詳しく書きたいと思っています)
「お~~~~~~~む~~~~~~~」って何?
本題に入ります。”オウムとは?”とウェブで調べると色んな説明が出てくるのですがどれも長ったらしくてヨガに興味がないと読む気が起きません。ここではかいつまんで簡単に書きますね。
OMとはマントラである
マントラとはヨガのお経、お祈りの言葉みたいなもので、幸せや心の安定などの目的をもって唱えられる言葉です。日本語だと「真言」と言われているみたいです。(今知りました)なので、OMには意味があります。
そもそも何て言っているのか
「おぉ~~~~~~む~~~~~~」と聞こえるときもあれば「あ~~~~ぉ~~~~~~む~~~~~」と聞こえたり、どのように言うのが正解がわからないですよね。これは、a(ア)、u(ウ)、m(ム)の3つの音で成り立っています。
各音の意味とOMを唱える目的
a,u,mはそれぞれ人間の「意識」を表現しています。
- a : 起きている状態(覚醒)
- u : 夢を見ている状態(夢)
- m : 深く眠っている状態(熟睡)
ヨガの目的とは、生きている人間が持っている様々な意識や煩悩を取り払い、魂のみの存在になることです。
私達の肉体は時と共に老いていくので有限ですが、魂は実態がない無限の存在です。その魂の存在になることで死を克服し、神に近づけます。(色んな説明をすっ飛ばしてとっても簡単に言ってます)

波一つない穏やかな水のような状態が心の平和
夢も見ずに深く眠っている時、あなたは生きていますが意識がありません。あなたの周りで何が起きていようと、またその日何か最悪なことがあったとしても、熟睡している時はあなたの心は穏やかです。
この波一つない湖のような静かな状態が幸福と言われ、起きていてもこの静かな状態を体験することで魂の存在になれる、と考えられています。
仏教でも、お坊さんなど悟りを開いた方が日々の出来事で心を乱されることなく、常に穏やかな状態でいることがイメージ出来るかと思いますが、ヨガもそういった心の平和(幸福)を目指しています。
要するに、有限の肉体に入っている自分はいずれ居なくなるのだから、お金や名誉など肉体を通してしか感じられないものに執着しても意味がない、ということです。
a,u,mの3つの短い言葉にはそのような意味が込められており、これをつなげて唱えることで心の平和(波がない湖のような穏やかな状態)を作り出す目的があります。
繰り返し唱えることに意味がある
OMだけでなくマントラには上述した目的があるのですが、1回言っただけでその目的が達成されるなんてそんな甘いものではありません。繰り返し、繰り返し、声に出して、あるいは心の中で唱えることで波立っていた水が段々と穏やかになり、静かな状態になります。
OMの唱え方
a,u,mの3音から成り立つOMですが、実際に唱えるときはa(ア)とu(ウ)が一緒になってo(オ)になります。
正しい言い方は、息を吸ってo(オ)を一気に吐き出し、途中で口を閉じてm(ム)に変わり、ゆっくりと終わります。o(オ)の時はお腹から、m(ム)の時は眉間から音を出すようなイメージを持つと、心の平静にも影響している体のエネルギーバランスが整う(と言われています)。
o(オ)とm(ム)の長さはどちらかが極端に長いものでもないので、「お~~~~~~~~~~~~む~~~~~~~~・・・」くらいです。(伝わっていれば幸いです)
音程に決まりはありませんので、みんなで唱える時は不協和音にならない程度に自分の好きな音程でOKです。
なお、日本のヨガスタジオだとOMと唱えているところはほとんどありませんが、ベルリンでは多くのスタジオでレッスンの始まりや終わりでOMを唱えています。ベルリンで聞く時は「ぁあお~~~~~~~~~~む~~~~~~~~~」という、o(オ)ではなくa(ア)から始まるOMが多い印象です。
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意味を知った上で唱えなくてもよい
ヨガがとても奥深い思想を持ったものであることを理解頂けたかと思いますが、それを知っても「私にとってヨガとはリラックスできるエクササイズ」とすることは、私は全く問題ないと考えています。私もインストラクターになる前は「ヨガ=ストレスリセット&エクササイズ」だったし、スピリチュアル面を避けていました。
全てのものに対して本来の意味や目的に沿った使い方をしなければいけないという考えでは新しい発想は生まれませんし、ホットヨガやSAPヨガ、アメリカで人気のJivamukti yoga(ジヴァムクティヨガ)もここ数十年の間に生まれた新しいヨガです。一方で、インド古来のハタヨガやマントラ、瞑想が好きな人もいます。
自分の人生をより楽しむために都合の良い解釈でヨガを取り入れればいいので、OMの意味を知った上で別にヨガのクラスでみんなと一緒に唱えなくってもいいです。
インストラクターは別にヨガの宣教師ではないので、レッスンに来た人にヨガの全ての強制することがありません。レッスンに来てくれた人が、60分なり90分なりのクラスが終わった時に何か気持ちに良い変化があれば、という思いで(私は)活動しているので、言いたくなければ静かに待っていればいいですよ。
マントラのワークショップや瞑想のクラスをやっているヨガスタジオもあるので、少し興味が湧いてきたらそういったものに参加してみるのもいいですね。