パーム油は健康?危険?健康被害・環境問題・使われている食品を調べてみた

パーム油という油を聞いたことはありますか?

オリーブオイルやごま油などに比べるとあまり馴染みのないかもしれませんが、スナック菓子やファーストフードなどの身近な食品に多く使われています。

実はこのパーム油、健康被害や環境への悪影響などが議論されている疑惑の油でもあります。そこで今回は、

・パーム油は健康にいいのか、危険なのか?
・パーム油が使われている食品とは?
・なぜパーム油は問題視されているのか?

について解説します。

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パーム油(Palm Oil)とは

アブラヤシの実

パーム油とは、「アブラヤシ」という植物から採れる植物油です。果肉からはパーム油、その種からはパーム核油(Palm Kernel Oil)がしぼり取られます。

パーム油はもともと西アフリカや中南米で生産されていましたが、需要の高まりにつれてマレーシア、インドネシアでも生産されるようになりました。現在はマレーシア、インドネシアでの生産が大部分を占めています。

パーム油が使われている食品

パーム油は私達の身近にある多くの食品に含まれています。

固形のパーム油は口に中でとろけるという食感を持っていることから、チョコレートやアイス、マーガリン、ホイップクリーム、ドーナツ、ビスケットなどに多く使われています。

また、液体パーム油は酸化や過熱に対する耐性が強いため、インスタント麺やスナック菓子、冷凍フライなどの揚げ油に多く使用されています。また、ファストフードやレストランなどの業務用揚げ油もパーム油が使われているケースが多くあります。

食品以外にも使われている

パーム油の使い道は食品だけではありません。

洗剤やシャンプー、口紅、塗料、ねり歯磨きなどに使われており、これらを合わせると日本人は年間およそ4kgものパーム油を摂取していると言われています。

「植物油脂」として原材料名には記載

年間4kgものパーム油を口にしていると聞いても「本当?」といまいち実感がない人もいると思います。

そのように感じてしまうのも無理ありません。理由は2つあります。

  • パーム油が主に加工食品の原材料として使われるから
  • 原材料名には「植物油脂」と表記されているから

植物油脂って健康そうな響きがしませんか?実際、植物油脂とは菜種油、大豆油、米油、オリーブオイル、ごま油など植物由来の油の総称なので、植物油脂=不健康というわけではありません。

しかし、植物油脂の中でもパーム油と菜種油の消費量は多く、お菓子などの原材料名として表記されている植物油脂はほぼ100%パーム油と考えてもよいでしょう。

どの油を使っても植物油脂と表記するだけでOKの日本の表記方式は「やばい油を使っているのを隠せる」という企業側のメリットでしかなく、健康によいものを選びたい消費者にとっては非常に不親切と言えます。

ちなみにドイツではパーム油が含まれている場合は”Palmöl””Palmfett”と原材料名に書かれています。

パーム油が世の中にあふれている理由

家庭での料理に使うことはほとんどないパーム油が、市販されている食品や外食産業で広く普及しているのはなぜなのでしょうか。

その理由は、安いからです。

パーム油の原料となるアブラヤシは、1年を通して実をつけます。

つまり、季節や時期を問わず1年間ずっと生産が可能であり、単位面積あたりの収穫量が他の植物油の原料と比較してかなり高い(=コストパフォマンスが良い)という特徴があります。

この年間を通した安定生産により低価格での提供が可能なパーム油。生産側にとっては「金になる油」、購入側にとっては「安くて大量に手に入る油」として普及していきました。

パーム油の問題点と批判の理由

低コストで扱いやすい、食品にも日用品にも使える便利なパーム油。これだけ聞くと素晴らしい油に思えます。ではなぜ、パーム油は批判されているのでしょうか。

健康への悪影響

批判されている理由の一つは健康への影響です。こちらについてこの後に詳しく解説します。

それにしても…コーンシロップや添加物もそうですが、健康に悪影響を及ぼす(危険性がある)ものをどうしてこんなに大量に食品に使ってるんでしょうね。

私は数年前から食べるものにはできるだけ気を使うようにしていて、特に注意しているのが添加物です。私が嫌いな添加物についてはこちらの記事で書いています。

安くてもオーガニックでも買わない!私が嫌いな添加物とドイツの添加物事情
スーパーなどで食材を買う時、原材料や添加物にどれくらい気を使っていますか? 私も昔は、特に添加物などを気にせず安いお菓子やレトルト食品、お惣菜などをがんがん食べていたのですが、ヨガや断食をきっかけに自分の口に入るものには注意するようになりま...

環境問題

批判されているもう一つの理由は環境への影響です。パーム油の生産増加は熱帯雨林の減少と深く関係しています。

パーム油の元になるアブラヤシは高温多湿の環境で育ちます。「パーム油(Palm Oil)とは」で解説した通り、現在パーム油生産の80%以上はマレーシアとインドネシアで行われています。

問題なのは、パーム油の生産のために熱帯雨林が伐採されていることです。

熱帯雨林の伐採により、住む場所を奪われた動物たちが絶滅の危機に瀕したり、もともとその場所に住んでいた人が追い出されるなどの問題が起きています。

その他、プランテーション開発の際に起こる大規模な森林火災も問題となっています。大量の煙はその周辺地域に住む人はもちろん、野生生物にも被害を及ぼしています。

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パーム油は健康?不健康

パーム油について色々と解説してきましたが、一番気になるのは「結局パーム油は健康にいいの?悪いの?」ということです。

私自身、パーム油について興味を持ったきっかけは「悪い噂は聞くけど、実際はどうなのか?」という疑問でした。

パーム油に含まれる成分

まず、パーム油に含まれる成分を整理します。

  • 約50%の飽和脂肪酸(パルミチン酸)
  • 約40%の一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)
  • 約10%の多価不飽和脂肪酸

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸はそれぞれ次のような特徴があります。

  • 飽和脂肪酸・・・常温で固体のものが多く、動物性の油に多く含まれる。
  • 不飽和脂肪酸・・・常温で液体のものが多く、植物性の油に多く含まれる。

ものすごくざっくり言うと、不飽和脂肪酸=健康にいい、飽和脂肪酸=健康に良くない、という違いがあります。

ちなみに、一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)の代表格オレイン酸は、動脈硬化、高血圧などの生活習慣病の予防・改善や悪玉コレステロールを抑える効果が期待されています。

パーム油は、他の油に比べて不飽和脂肪酸が多い点から健康によい油と言えます。

高温処理されたパーム油は危険

「パーム油は健康によい」と上述しましたが、これはあくまで良質なパーム油に限ります

パーム油は高温(200℃以上)で処理された場合は、次のような発がん性などの危険性がある成分が生成されます。

3-MCPD, 2-MCPD, Glycidyl-Fettsäureester(グリシジル脂肪酸エステル)

パーム油全てを悪者扱いする必要はありませんが、ジャンクフードなど安い食品に使われているのは危険なパーム油だと考えたほうがよさそうです。

ちなみに、日本はどうだかわかりませんが、ドイツでは認証を受けたオーガニックブランドの商品では高温処理された品質の悪いパーム油は使われていないようです。

高温処理はパーム油だけではない

植物油の高温処理は、パーム油だけで行われているのではありません。菜種や大豆、トウモロコシなどの植物油の多くが、その加工過程で脱臭のために高温処理されています。

つまり、パーム油じゃなかったら大丈夫というわけではないのです。

油は高温処理されると肥満や悪玉コレステロールの増加を引き起こすトランス脂肪酸も生成されます。

高温処理がされている油を避けるためには、コールドプレス製法で生産された油を選ぶ必要があります。

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パーム油、こんな人は要注意

知らない間に摂取しているパーム油。特に次のような人は注意が必要です。

・スナック菓子や冷凍食品などの加工食品をよく食べる人
・子供や乳幼児、お年寄り

トランス脂肪酸や添加物と同じように、パーム油も食べてすぐ毒になるものではないようです。ただし、継続的に大量に摂取した場合や子供やお年寄りは注意が必要です。

自分がいったいどれくらいのパーム油を摂取しているのかわからないので、できるだけ取らないという意識が大切だと思います。

まとめ

パーム油についてのまとめは、以下の通りです。

  • パーム油の問題は、健康被害と環境問題
  • 良質なパーム油は、不飽和脂肪酸を多く含む健康に良い油
  • 高温処理されたパーム油には、健康被害を及ぼす成分が含まれている
  • スナック菓子やジャンクフードの油は高温処理された油である可能性が高い

私はここまで調べてみて感じたのは「シロップや添加物と同じだな~」ということです。

外食業界も食品メーカーも、お金儲けのためにビジネスで物を売ってるので、消費者の健康を第一に考えてくれてるわけではないんですよね。

消費者である私達が賢くなって、自分の意志で選択するしかないと思いました。

それにしても・・・添加物、砂糖と続いてまた食べられないものが増えてしまった。。。私が砂糖を避けている件(きっかけや効果など)についてはこちらを紹介しています。

効果抜群の砂糖断ち・小麦断ち!方法やコツを実体験を元に紹介
最近、小麦と砂糖を極力取らない生活を始めました。 もともとチョコやケーキ、羊羹からアイスなど甘いもの大好きだった私。あることをきっかけに自分が砂糖中毒であることに気づき、砂糖断ち(ついでに小麦断ち)生活を始めることにしました。 始めてまだ2...

なお、今回は以下にあるサイトを見ながら勉強し、私が理解した内容を記載しました。素人のリサーチなので情報が甘い・不正確な可能性がある点をご了承ください。

参考サイト:
(日本語)
http://www.bctj.jp/3minutes-palmoil/
https://www.j-oil.com/oil/type/fa/#howa
(ドイツ語)
https://utopia.de/ratgeber/palmoel-ungesund-krebserregend/
https://praxistipps.focus.de/ist-palmoel-schaedlich-verstaendlich-erklaert_55553
https://www.rapunzel.de/faires-bio-palmoel-gesundheits-aspekte.html

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